ダメ社会人のダメじゃないかもしれない毎日

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ダメ学生名作を読む 『僕が殺された未来』作 春畑行成

誰がこのブログテーマが続くことを、そしてまさか連チャンでこのテーマだという未来を想像できたでしょうか、自分でも驚きです。本屋にふらっと立ち寄り綺麗な表紙に惹かれて買ったこの本、まさかのまさか、読みやすさと物語への牽引力によって1時間ほどで読み終えてしまいました。

 

(CM開始)

 

僕が殺された未来 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

僕が殺された未来 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 

 

 

(CM終了)

 

「このミス!」に応募された作品の中から受賞を逃したものの埋もれさせておくには勿体無い、超隠し玉という売り文句で改稿を経たのちに出版されたこの作品。一人称視点で描かれた文章は非常に読みやすくページを捲る手が止まりません。

 

未来からきた少女によって、現在行方不明になっている片思いの相手、そしてその行方不明事件に関わってしまったがゆえに相手だけではなく自らも殺されてしまうという事実を知った主人公がその未来を変えるために奔走する物語になっています。洋画の「タイムマシン」「バタフライエフェクト」から影響を受けたような設定になっています。典型的な時間SFの雛形ですね。

 

未来から来た少女が仲間にいるものの、事件の解決に四苦八苦するのはそれが少女であること、そして未来から持って来たのは警察の捜査資料という、全知全能の書ではないという要素が大きく絡んでいます。これによって未来知ってるんだから早く話進めろよという時間SFモノにありがちな問題点を克服しています。つまり答えを知った上で主人公が行動するのではなくあくまでも主人公が知ることのできるのは解答に辿り着くための途中式にすぎなく、主人公は自らの行動を経てようやく未来からの情報の価値を知るのです。

 

そして事件を解決したのちに主人公は少女がなぜ未来から来たのか、その本当の理由を知ることになるのです。丁寧に伏線が張られていましたがこの結末は予想できませんでした。

 

しかし結末の片付け方に若干のおざなりさがあったようにも感じられました。少女が未来から来た理由づけがもう少し欲しかったのも事実でしたし、未来からの人物との邂逅で主人公が何かを得たのと同様、過去の人物とあった未来人側も何かを得たのか、それをもう少し描いていただきたかったです。

 

しかしポップな会話のやりとりと各キャラの立った書き分けにより魅力的な登場人物の多いこの作品、是非とも読んでいただき、皆様の未来へと思いを馳せていただきたいです。